第一章:開戦

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その声で現実に引き戻された気がした。 「はい、島川ただいま!」 「行くのか?」 「ああ。」 「んじゃ、島川一飛曹の武運を祈って・・・敬礼!!」 三人は瞬時にして真剣な顔つきとなり、脇を閉めた海軍式の敬礼を決めた。 島川も返礼をしようとするが・・・・・・・。 「おい・・・。」 「どうかしたか?」 「貴様等の餞別とやらで手が塞がって、返礼が出来んのだが・・・。」 右手の全ての指に挟んだラムネと、左手いっぱいに抱え込んだ菓子類を強調してみせる。 途端に、四人の顔つきは元に戻り、辺りに笑い声が響いた。 「じゃ、改めて行ってくるわ。」 島川は踵を返して、愛機の方へと歩き始めた。 見送る三人は無言だ。 ラムネの瓶同士がぶつかる音が、やけに耳につく。 十数回、飛行靴が甲板を叩いた時だった。 「島川!」 川口の声が響いた。 「その菓子代、実はお前持ちだぁ! 今は俺が立て替えている! 後から耳そろえてきっちり払えよな!!」 島川は、足を止めることなく無言で、ラムネ瓶と右手を高く持ち上げる。 カチンとガラスがぶつかり合う音が、再び空気を震わせた。
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