2枚目

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――ひらり         ――ひらり 薄い暗闇の中、一枚また一枚と銀杏の葉が舞落ちる。   その中に佇む少女     …――― …何? 何て言ったの?        …――かや …聞こえな…――― 「…鷹弥(タカヤ)」 ハッと目を覚ます。 見上げると無表情で俺を見ている少女が立っていた。 「…葛葉(クズハ)?アレ?俺、寝てた?」 俺の問い掛けに表情を変えることなく頷くとポツリと呟いた。 「…帰る」 スタスタ歩いて教室を出る葛葉を慌てて追い掛けて席を立つ。 「あれ?鷹弥ぁ、もー帰んの?」 「うん、じゃーねー!また明日っ」 「鷹弥くん、帰っちゃうの?」 「うん!バイバイっ」 教室を出ると、扉のすぐ隣で待っていた葛葉と目が合う。 (…あれ?ちょっと機嫌悪い?) 「どした?」 「…別に」 やはり表情を変えることなく葛葉はまたスタスタと歩き始めた。 ―――… いつもの慣れた道を二人で歩く。 「…相変わらず鷹弥には人が集まる」 「そっかなぁ?」 「…昔からそうだった。…いつの時でも」 「ん?…でも、良かったなぁ!同じクラスになって」 「……うん」 サラサラと黒髪を揺らしながら隣を歩く少女は珍しく少しだけ頬を緩める。 「今日も行くんだろ?」 返事をするかわりにコクリと頷く葛葉。 山の中腹にある小さな神社。 葛葉はここに来ることが日課だ。雨でも風でも、どんな時でも―…。 長い石段を登ると、既に先に登り終えていた葛葉が銀杏の木を見つめて立っていた。    『…――待ってた』  夢で見た少女と葛葉の姿が       重なった
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