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「はい。俺も、不完全燃焼です」
「な、せめて最後に、思いきり野球したいよな。最終戦のあの出番じゃ、諦めきれねぇよ。俺達の魂は、まだ死んじゃいないぜ」
「どこの作家のラストダンスですか」
田淵のおどけた、妙に芝居がかった言葉に、小倉は思わず新香を吹き出しかけた。道場瞬一の小説は、野球小説に限らず互いによく読んでいた。まだ顔が緩んでいる小倉を、田淵は穏やかな目で見ていた。
「やっぱり、まずはトライアウトになるのかな。社会人チームとか、独立リーグもあるけどさ。入れるかわかんねぇけど」
「トライアウト、ですか」
「オファーが来るなんて考えてもないけど、最後に真剣勝負させてもらえるのはありがたいよな」
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