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「まあ、今日は飲もうや。そんで食おう。ここの店は意外と美味いからな。機会があれば、また来てもいいくらいだ。お前、何か頼むか?」
田淵は取り直すように言い、メニューを開いた。
「あっ、じゃあ唐揚げお願いします」
「今日は奢ってやるから、どんどん頼めよ。もう、ベテランになった時のことなんて考える必要も無いんだから、食いたい物食っちまえ。寮長も、今日は帰らなくてもいいって言ってたしな」
そう言い、注文を告げる田淵を見ながら、小倉は自分の中で気持ちが固まるのがわかった。
トライアウトで、完全燃焼して真っ白な灰になるつもりで、全てを出しきってみせる。そして、トライアウトが終わったら、もう野球はやめて、地元で仕事を探そう。
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