想定内の事態と、想定外の事態

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「わかりました。では、自由契約ということで、球団に伝えさせていただきます。それと、戦力外になっても少しの間は、練習施設の使用はできるそうです」 「ありがとうございます」  小倉は、深く頭を垂れた。球団職員も、いえいえと頭を下げる。球団職員は、顔を上げた。 「立ち入ったことをお聞きしますが、小倉選手は秋田のご出身でしたよね」 「そうですが」 「何か、今後のあてはあるのでしょうか?」  球団職員は、真剣に小倉の今後を案じていた。その気持ちだけで、小倉は十分だった。 「あてがあるとは言えませんが、頑張ればなんとかならないこともないと思います。野球を辞めるにしても、入団する際に、契約金を入団時と退団時に分けてもらえるようにしたので、その金で資格を取る勉強もできそうですし。ご心配、ありがとうございます」  このまま、他に何もないのなら話を切り上げるよう、小倉は雰囲気で促した。これ以上気を回されるのは、さすがに忍びなかった。
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