01:《Terminal》

2/11
前へ
/41ページ
次へ
「おっと!」 私の背後にいつの間にかいた人物は、私の蹴りを受け止めた。 「ひどく暴力的なお嬢さんだ。何か嫌なMemoryでもあるんですか?」 「………貴方、誰」 私が背後を睨みつけると、そこにはいかにも怪しい仮面の男が立っていた。 仮面の上から眼鏡、黒いシルクハット、古そうな黒いマント。 黒い堅そうなブーツがみえる足元はすらっとしていて、身長は180cm以上あるようにみえた。 「これは失礼しました。 私、Baroque=Alphestと申します」 バロック=アルフェスト……。 外人……? 黒いような灰色の髪に赤い目は、確かに日本人にはみえない。 肌も白い。異様に。 「……私は槞架よ」 「槞架さんですか。いい名前だ」 バロックさんは微笑む。 怪しいことにはかわりないが、とても綺麗な顔立ちがそれを惑わせる。 「ここは私が管理しているんですが、どうですか? こんなところで立ち話もなんですから、屋敷の方にいきませんか?」 「屋敷? 屋敷なんてどこに……」 私はあたりをもう一度見渡した。 やはり何もない。 「ここではなく、ここの奥にあるんです。少し歩いてバスに乗りましょう。屋敷へ出発する停留所は近いですから」  
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加