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「おっと!」
私の背後にいつの間にかいた人物は、私の蹴りを受け止めた。
「ひどく暴力的なお嬢さんだ。何か嫌なMemoryでもあるんですか?」
「………貴方、誰」
私が背後を睨みつけると、そこにはいかにも怪しい仮面の男が立っていた。
仮面の上から眼鏡、黒いシルクハット、古そうな黒いマント。
黒い堅そうなブーツがみえる足元はすらっとしていて、身長は180cm以上あるようにみえた。
「これは失礼しました。
私、Baroque=Alphestと申します」
バロック=アルフェスト……。
外人……?
黒いような灰色の髪に赤い目は、確かに日本人にはみえない。
肌も白い。異様に。
「……私は槞架よ」
「槞架さんですか。いい名前だ」
バロックさんは微笑む。
怪しいことにはかわりないが、とても綺麗な顔立ちがそれを惑わせる。
「ここは私が管理しているんですが、どうですか? こんなところで立ち話もなんですから、屋敷の方にいきませんか?」
「屋敷? 屋敷なんてどこに……」
私はあたりをもう一度見渡した。
やはり何もない。
「ここではなく、ここの奥にあるんです。少し歩いてバスに乗りましょう。屋敷へ出発する停留所は近いですから」
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