01:《Terminal》

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そういってバロックさんは歩き出す。 「ちょ、ちょっと!!」 私は慌ててそれを追い掛けた。 「どういうことなのか全然わからない、ここ日本じゃないの? 私確かバイクで――」 私は聞きたかったこと全て話そうと口を開いたが、バロックさんが人差し指で口を閉じる。 「屋敷についたら、話ききますから」 そう言われては黙るしかない。 しかしおかしな世界だ。 私と彼以外誰もいないのだろうか。 あ、いや、停留所の創さんがいるか。 少し歩くと、また別の停留所がみえた。 今度は屋敷行きと書かれている。 「あの、バスってそんなに何本もあるもんなんですか?」 「ええ、まあ。大体すぐ来ますよ」 バロックさんがそういうと、視界の端からバスがみえた。 普通のバスだ。 (そこは猫バスとかじゃないのね……) ちょっとがっかりした。 猫バスのもふもふ具合は味わってみたかったからだ。 「さ、どうぞ」 「え、あ、でも、お金……」 「大丈夫ですよ」 私は押されて中に入る。 本当に普通のバスだ。 中には、誰もいなかった。 (何処に座ろうかな……) あまりに誰もいないので、立ち尽くしているとバロックさんが私の横を通り、二人席の場所に座った。  
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