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「よし!」
ビーフシチューを作って、兄貴の帰りを待つ私は携帯を見つめる。
やはり両親からは何の連絡もない。
「ただいまー」
私が漫画を読み始めて2時間後、兄貴の声が玄関に響いた。
笑顔で出迎える。
「おかえり! 遅かっ…た…ね………」
私の笑顔は引き攣るしかなかった。
「おう! ちょっとな! あ、紹介するわ、こちら仁兄貴。仁兄貴、紹介しやす。妹の槞架です」
「おぅ……、この子が槞架ちゃんか。随分と可愛い妹さんだな」
「とんでもないっス!」
私の前には、オールバックにした兄貴と、何だかダンディズム溢れる40代くらいのおじ様が立っていた。
仁兄貴と呼ばれたおじ様……男性は、サングラスをかけ、渋いスーツに身を包んでいる。
「ど、どうも……槞架です………」
「よろしく、槞架ちゃん。私は松永 仁(まつなが じん)だ」
「はあ……」
松永 仁さん……
松永さんでいいか……。
……一体誰なんだろうか。
兄貴の新しいスポンサーか何か……なのだろうか……。
だがどうにも一般人にはみえない。
どうしてもチャカとかシャブとかそんなものを扱っている、指詰めをするような方々に見えてしまう……漫画の見すぎだろうか。
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