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「あ―――!!! 私はッ!! 私はぁぁぁぁぁぁぁあ――――ッ!!!」
兄貴の転職のショックで、私は家を飛び出し偶然居合わせたバイクに乗った松永さんにアッパーをくらわせた。
そして私はわけもわからずバイクにまたがり走り出したわけである。
その際松永さんは笑顔だった。
満ち足りていた。
『暴走車、聞こえないのか!!』
私は叫んだ。
泣きながら叫んだ。
魂の叫びだった。
「止まり方がわからないのよォォォッ!!」
速度がどんどん加速していく。
どんどん私の目からは涙がこぼれ落ち、バイクのハンドルを握る手が強くなる。
と、目の前にはトンネルだった。
『そのトンネルは行き止まりだ!! 逃げられないぞ、止まれ!! とま―――ガガッ――――返………ザッ……』
トンネルにそのまま突っ込んだ私は、あまりの暗さに目をつむった。
何の街灯も電柱もない。
ただ、真っ暗だ。
気がついたらサイレンの音は消え、パトカーから聞こえていた怒声も聞こえない。
「やった、逃げきった!?」
すごいな私!!
私は自分に感動する。
「やった、やってやった……!」
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