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私は呆然と呟く。
「あーもうやっちゃったー!!! もう帰れねぇー!!……って――行き止まり!?」
大爆笑しながら走るのはいいが、岩と岩が重なり合い、奥にいけない気がする。
(……いや、よくみると道がある!)
目を凝らすと、わずかだが道がみえた。
本当にわずかな隙間だが、抜けるしかない!
止まることのできない私は、当然全力でその道を通り抜け――
光に向かって走る――。
「あはははははははッ!!! やった、やっちゃった!! どーしよう! いやどうにでもなれってのよちくしょー!!!」
私はもう泣きながら笑い、笑いながら泣き、半ばやけになりながら――
トンネルを、抜けた。
「……わぁ………」
バイクは自然に止まった。
私の髪を、冷たい風がさらう。
もう本当にサイレンの音も、怒声も、何も聞こえなかった。
逃げきった……らしい。
そして何よりも、そこは。
「綺麗……」
真っ白な雪で身を包んだ、雪国だった。
少し先に停留所がある。
その停留所はまるで不思議の国にあるもののようにデザインがファンタジックで、人は一人もいない。
私はなんだか気になって、動きそうにないバイクを置き去りにして、その停留所に近寄った。
「……ま…かい……ゆき?」
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