Prologue

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行き先は魔界行き、とかかれている他、様々な英語で地名が書かれている。 魔界だなんて……ふざけているのかな。 私は停留所をまじまじと見つめた。 「………何なんだね人の顔を見つめて」 「うわッ!!?」 突然、停留所自体から声が響いた。 私は驚いて飛びのく。 「うわッとはなんだね、うわッとは。失礼な小娘だ」 「………ううう嘘……停留所が喋った……」 さすがにディズニーのような顔はないことを停留所を一周回って確認する。 「おい、君。じろじろみて失礼だと思わんのかね? 大体君のその顔はなんだ 。大抵の少女は『バス何時かなぁ?』というあどけない表情でみるものだ。 そんな『何この化け物』みたいな顔でみるのはよしたまえ。私が傷つくじゃないか」 しらねぇよ。 とツッコミをいれたかったが、確かに失礼かもしれないと思ったので謝った。 「ごめんなさい」 「素直でよろしい。私はこの一番停留所を管理する創(はじめ)というものだ。 よろしく、お嬢さん」 「あ、えっと……槞架です、るか。よろしくお願いします……」 私は生まれて初めて停留所に自己紹介した。 いや、人類史上、停留所に自己紹介したのなんて私くらいだろう。  
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