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「あの………ここは……?」
私は停留所の創さんくらいしか喋る相手がいなかったので、気になっていたことを尋ねることにした。
少し見渡してみたが、こんな景色、日本にあるのか、というくらい、何もない。
真っ白な雪の中に、今私の立っている道路と停留所の創さん、あとは山みたいなものがみえるだけで建物は見当たらない。
道路はまっすぐ何処までも続いているようにみえた。
「ここかい? ここが何処だかわからずやってきたのかい?
ここは不思議のくがぁッ!!?」
私は迷わず停留所を殴った。
なんとなく兄貴とかぶったからだ。
「私、ふざけてるわけじゃないから。次マトモなこと言わなかったら壊すわよ」
「な、なんていう力……本当に人間か!?」
「よし、歯ぁ食いしばれ」
私はもう一度構えた。
「わかったわかった!! わかったからやめてくれ!」
「さっさと言いなさいよ」
私は構えたまま言った。
停留所に表情はないが、表情はなくとも創さんが焦っていることは伝わった。
「ここは――……」
「ここは《Terminal》。停留所の集合体、とでもいいましょうか」
「!!」
創さんではなく、私の背後の声が答えた。
いつの間に後ろに……!
私はとっさに背後に回し蹴りを放っていた。
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