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その瞬間、向こうがこちらに気付いた。
関わる気が毛頭なかった私を気まずさが支配した。
「こんにちは」
穏やかな声だった。
その人は人の良さそうな笑顔を浮かべてそう言った。
別に悪い事をしていた訳ではないのだから普通に挨拶仕返せば良いのだが私はそれが出来なかった。
おどおどと頭を少し下げる程度の挨拶。
人見知りの激しい私にはそれが精一杯だった。
「お散歩?」
その人は優しく尋ねた。
首ふり人形の様に頷く事でしか相手に返せない自分が恥ずかしかった。
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