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幽霊だろうか・・・??
だとしたら納得がいくが、足はきちんとついている。
気味が悪い・・・。
そう思う隙さえないほど、薄暗い中に浮かび上がる肌の白さが彼の整った顔立ちを際立たせ、妖艶で幻想的でさえあった。
しかし何故まだ蕾もまばらな桜の木など眺めているのか・・・。
妙に興味が沸いた。
なるべくさりげなく車輪を走らせる。
徐々に、でも確実に男との距離が縮まる。
鼓動も次第に速くなる。
一体、彼は何者なのだろうか・・・??
男は猫のようにしなやかな身体を、これまた猫のように素早く移動させ、俺の前に立ち塞がった。
男は長い袖からのぞく右の人差し指で色のない唇を触ってけだるそうな表情。
彼の視線は相変わらず蕾もまばらな桜に注がれている。
「やっぱり・・・死体が埋まってないから咲かないのかな・・・??」
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