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消え入りそうな、それでいてのんびりとした声で男が呟いた。
古い小説に書かれていたのを昔読んだ気がする。
『桜の木の下には死体が埋まっている』
「誰も埋めないなら・・・僕が埋めちゃおうかな・・・」
またのんびりした声で言うと、男はほんの少しだけ口角をあげた。
その笑みに俺の背筋は凍りついた。
コイツは危ない・・・。
本能は今までにない大音量で危険信号を発令する。
その場を離れたいのに身体が動かない。
本当に麻痺してしまったようだ。
あれ程までに憧れ続けていたはずなのに、この時ばかりは喜びより恐怖が勝った。
男はゆっくりその場にしゃがみ込んで上目遣いに俺を見た。
怖い・・・
だが見とれるほど美しい・・・
「僕のこと怖い・・・??」
男はあののんびりした声で俺に問い掛けた。
俺は声が出せない。
「ふふ・・・はははは・・・」
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