狂イザクラ。

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最近は会社も休みがちになり、昼夜が逆転した生活になっていた。 彼女に対しても態度は冷たくなる一方。 会社と彼女から暇を出されるのは当然であった。 しかし絶望は感じない。 これが本当の自分なのだから・・・ 動かぬ足。 思うようにいかない日常の生活。 自分は世間でいう弱者であり、時に疎まれ、愛される存在・・・ キョウと共に過ごすにつれ、その妄想は現実味を帯びていった。 実際にこの前立ち上がろうと試みたが、立てないのだ。 両足はまるで棒のようで、触っても何も感じない。 しかし当然のことながら事故に遭ったわけでも、病気になったわけでもない。 いや・・・。 病気には罹っているかもしれない。 肉体などの表面ではなく、もっと奥深くに位置する精神の。 しかしそんな考えはかえって妄想なのかも知れない。 だって本当の『俺』は車椅子に乗った『俺』・・・。 あれ・・・どっちだっけ?? 俺は・・・ 俺ハ・・・ オレハ・・・ 「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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