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重々しい音を立て、砂埃を巻き上げながら、首を無くした黒い巨体は身体全体を地面に沈ませた。
その横では身体を無くした黒い首が生気の無くなった目でゴロンと転がる。
男の脅威だった黒い怪物は、いとも簡単に仲間達と同様に、物言わぬ屍と化してしまった。
驚かずにはいられない出来事。
しばらく現実離れした今までの事を受け入れるために呆然としていた。
が、じわじわと思い出す様に自分が死から解放された現実を認識すると、男の心は喜びでいっぱいになった。
「や、やった!助かった…ありがとう…!ありがとう君達!」
男が感謝の弁を述べるが、命の恩人である青年はまるで聞こえていないかのように、無視して背を向けた。
「11…10…9…」
男の横では相変わらず少女のカウントが続いている。
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