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銃口から真新しい煙が立ち上るハンドガンを腰のホルスターにしまい、少女は身を屈めた。
そして頭から血を流し動かなくなった男の首に手をあて、一つ頷く。
「間に合ったか?」
「うん。午後4時38分ジョージ=アンダーソン、トカス地方の戦場にて戦死。時間も場所も人物も一致」
青年の質問に、腕に巻き付けた機械の画面を見ながら少女は淡々と答えた。
そして機械を操作して画面に映る文字の羅列を消すと、手をかざして死体のまぶたを優しくそっと閉じ、再び立ち上がった。
「んじゃ、任務しゅーりょーな。はーよかった、こいつが奴らにやられなくて。少しでも計画にズレが生じると、あの人めちゃくちゃキレるからな…俺達の理念とはいえ、ちょっと細か過ぎるんだよ。な、お前もそう思わねーか?」
「話してる暇無い。直ぐに報告を」
「…相変わらずツマンネー反応しかしねーな。ライムは真面目過ぎんだよ!ちょっとは笑ったらどうだ?」
「あなたにそれを言われる筋合いは無い。私は私が笑いたい時に笑う。それに―」
「おわ!?」
少女が手を横に延ばすと、今まさに自分に襲い掛かろうとしていた怪物の生首を、見えない力で粉々に破壊した。
「ロッシは仕事が雑過ぎる」
少女はそれだけ言うと、腕の機械を操作して『帰艦願』を映し出した。
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