33人が本棚に入れています
本棚に追加
「まったく…」
強気な紅い眼で呆れた様に部下を見下ろしながら、イルミナは一つ溜息を漏らした。
彼女の背中には本人の二倍の大きさはあると思われる、持ち主には明らかに不相応な大剣が納められている。
「い、いきなりグーはねぇだろグーは!少しは部下を労えよイルミナ―」
「ん?」
「―副隊長」
「よろしい」
笑顔で握りしめていた拳を解くと、イルミナは満足げに頷いた。
一方ロッシの方はというと、相手に気付かれないように、顔を背けて悪態をついた。
「ただいま帰艦いたしました副隊長」
ライムがイルミナに向けて小さく敬礼する。
途端にイルミナの表情がロッシに見せたものとは百八十度異なる、緩んだものとなり、そのままガバッとライムの小さな身体に抱き着いた。
「おっかえり~ライムぅ!ロッシになにか変な事されなかった?」
「せくしゃるはらすめんと、されました」
「…ほぅ?」
「嘘をつくな嘘をッ!」
ロッシのツッコミに、ライムはわざとらしく自分の頭を小突いた。
最初のコメントを投稿しよう!