時の番人

15/29
前へ
/29ページ
次へ
「まったく…」 強気な紅い眼で呆れた様に部下を見下ろしながら、イルミナは一つ溜息を漏らした。 彼女の背中には本人の二倍の大きさはあると思われる、持ち主には明らかに不相応な大剣が納められている。 「い、いきなりグーはねぇだろグーは!少しは部下を労えよイルミナ―」 「ん?」 「―副隊長」 「よろしい」 笑顔で握りしめていた拳を解くと、イルミナは満足げに頷いた。 一方ロッシの方はというと、相手に気付かれないように、顔を背けて悪態をついた。 「ただいま帰艦いたしました副隊長」 ライムがイルミナに向けて小さく敬礼する。 途端にイルミナの表情がロッシに見せたものとは百八十度異なる、緩んだものとなり、そのままガバッとライムの小さな身体に抱き着いた。 「おっかえり~ライムぅ!ロッシになにか変な事されなかった?」 「せくしゃるはらすめんと、されました」 「…ほぅ?」 「嘘をつくな嘘をッ!」 ロッシのツッコミに、ライムはわざとらしく自分の頭を小突いた。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加