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「……」
目の前に差し出された二枚のトランプの背中を、無表情で見つめる少女ライム。
そんな彼女の様子を、トランプを手にニヤニヤしながら眺めるロッシ。
対照的な両者であるが、初めに動いたのはライムだった。
ロッシの持つトランプの一枚に目掛けて手をのばす。
「…よし!」
「……」
が、ロッシの反応を見て、もう一枚のトランプの方に手を移し、引き抜いた。
「げ!?」
本人の意志とは逆に、ロッシの手元に残ってしまったトランプは、堅苦しい図鑑に載っているような凶々しさ漂う死神ではなく、牙を抜かれ、人を小馬鹿にしたような表情を浮かべるポップな絵柄をした死神が描かれていた。
死神にからかわれ、おもしろくなさそうに眉毛をひくつかせるロッシ。
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