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○月×日、本日も晴天なり。
暑く辛い夏も過ぎ、穏やかな風が流れる今日このごろ、季節は秋を迎えていた。
心に寒さを感じるのは、季節のせいだろうか?いや、それだけじゃない。
あいつがいなくなってからというもの、私の心は決して溶けることのない雪で覆われ続けている。
それゆえに、暑く辛い夏の間も、外では皆と同じく相応の暑さを感じながらも、内では厳しい寒さに震えていた。
今ならわかる。辛い、というのはここから感じた気持ちだったのだ。
何度くじけそうになっただろう。しかしその度に己を律することで堪えてきた。
私よりもっと辛いだろう人物が身近にいたから。
今日も紅や黄の葉をつけた色とりどりの並木道を通ってあの人に会いに行く。
それが、私にできるただ一つのことだから。
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