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怪物が見えない敵を見つけようと見回す中、再び黒い何かがその傍を通り過ぎた。今度は逆方向に。
背中に新たなバツ印をつけられた怪物は、苦しそうに膝から崩れ落ちた。
男にとって、銃も剣も効かなかった怪物が弱っている姿は、にわかには信じられない光景だった。
そんな怪物を前に、一つの影が降り立つ。
「さぁ、命ごいをしてみろ怪物」
まだ少しあどけなさが残る若い男は、普通の何倍もある大きな鋏を肩に担ぎ、虫を見るような目でひざまづく怪物を見下ろした。
「32…31…30…」
「!?」
男は驚いた。
怪物をひざまづかせたのが若い青年だったこともあるが、いつの間にか自分の隣にもう一人、新たな人間がいたことが原因だ。
青年よりも若くて、物静かな様子のショートカットの少女は、腕にはめられた何かを見つめながら、そこに映る数字を無表情でカウントしていた。
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