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「………嘘、でしょ?」
布団の中から見つめる時計は、焦ることも怠けることもなくチクタクと時を刻み続ける。
「いやいやいや!まさかそんなこと…夢?そう夢だよ、夢!あははっ」
夢から覚めるべく、布団に潜り込む。
「んなことしてる場合かゴルァ!!!」
寝床にしているロフトから転がるように…てか、落ちるように駆け降りて、わたわたと準備を始める。
白地に小さい花柄のタートルネック
黒のバルーンスカート
控え目にフリルのついた黒ニーハイ
誕生石のアクアマリンを使ってるネックレス
昨日の夜に鼻歌を歌いながらうふふん♪って準備したものを、今は恐ろしい形相で身に着ける。くそっ動揺でうまく着れない!!
「お母さん!アイロン!!アイロンは!?」
「自分で探しなさいよ」
「けち!!!」
自分で引っ張り出したアイロンで寝癖を一気に伸ばす。ちなみに普段はこんな面倒なことはしない←
「おっしゃああぁあぁぁ!いってきます!!」
「あれ、ご飯食べないの?」
「……………」
「くそぉぉぉ!!俺のバカ野郎おぉぉ!!!」
しっかり朝食を完食した私は猛ダッシュで電車を降りた。駅を出て、人込みを掻き分けて進んでいく。
(あっ…!)
渡ろうとしていた信号が赤に変わる。
(車……来てない。行ける!)
一応周りを確認してから、堂々と信号無視をする――
近くで、車のクラクションが響く。
私の目に、黒い車がこちらに走ってくるのが見えた――
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