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すっかりだまされている。初対面の人でわが家の実体に気づく人はまずいない。そして今日も僕は完璧な家のエキストラを演じてしまう。
「そういえば祐美さん、前に妹もいると言ってたよね。まだ帰ってこないの?」
食事中、何も知らない樹さんがごく普通の質問をする。だが僕とお姉ちゃんは凍り付いた。お母さんの前で亜美の話をするなんて危険だ。
でもやはりお母さんはただ者ではなかった。
「‥‥えぇ‥‥あの子ってば友達の家に泊まるって言って‥‥せっかく樹さんが来てくださるというのに‥‥すみませんね」
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