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都営住宅の自分の家に入ると物音一つしなかった。でもお母さんの靴があるからどこかにいるはずだ。
忍び足でリビングに行くとお母さんがソファで昼寝をしていた。亜美はゴミの積み上げられたベランダからこちらをみている。もう僕たち姉弟に助けを求めるのをやめたようだった。うつろにみているが、ただ目に僕を写しているだけにも見える。
部屋に行きドアを閉める。だからといって気を抜けない。下手に物音をたてると怒らせてしまうからだ。
こんな時は勉強をするのが一番。たとえ何かで怒りだしても受験生の僕が勉強をしていれば矛先をかわせるし、いい成績をとれば少しは機嫌取りになる。 勉強をしていても気持ちの半分は部屋の外に向いていた。
そしてついに起き出して活動を始めた。お母さんは頭がいいから外にバレるようなヘマはしない。亜美をリビングに入れて雑巾を口に積めてから気が済むまで殴り続ける。
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