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外には聞こえないけれど同じ家の中にいるとイヤでも響く。聞かないようにと教科書の数式に集中しようとするが無理だ。
お姉ちゃんは最近は彼氏の家に泊まってくることが多い。明日は休み。今夜も帰ってこないだろう。
皮膚と皮膚がぶつかりあう音が止んだ。それと間を置かずにお母さんが部屋に入ってきた。
体中に緊張感が走る。
亜美ほどひどいことはしないとはわかっていても体が固くなる。
「あら、勉強してたの?」
お母さんが優しい声をだすが罠かもしれない。
「いっぱい勉強していい高校・大学に入らなきゃだめよ」
背を向けてでていこうとするお母さんを呼び止めてしまった。
もしうまくいけば家にいる時間が減るかもしれない、という賭だ。
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