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「‥あ‥‥あのさ‥‥僕、塾に行きたいんだ」
クラスメイトの半数以上は塾に行っていた。土日はもちろん、夏休みのような長期休校の時も授業があるから家にいなくて済む。
長い沈黙。
また機嫌を損ねたかと頭が真っ白になった。賭は失敗したのか。
お母さんはにっこりと笑った。
「そうね。男の子だもの、それなりの学歴がないとみっともないわね。祐美みたいに三流高校出なんてかっこわるいわ。いいわよ。月謝の分は亜美の食事を減らせばいいんだもの」
助かった。
亜美はともかく自分は塾に逃げ込めるじゃないか。
今でさえ一日一回食事をもらえればいい妹がもっと立場が悪くなるのはわかっていたが喜ばずにはいられなかった。
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