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「……だるっ」
異常気象とかゲリラ豪雨だとか、最近おかしいだろ。
先月まで30℃近くまであったはずなのに木枯らしがふいて、ようやく涼しくなったと思っていたら見事に風邪をひいてしまった。
ゲームは一日一時間で規則正しい生活を送っていたのに何故だ……。
「だいじょぶか、なんか買ってくるか?」
ファミコンは困ったように眉をハの字にして言う。
その隣でメガドライブもこくこくと頷いている。
普段風邪なんてひかないから、どうしたら良いのかわからないんだろうな。
「大丈ゲホッ……夫だ、問題ないックシ!」
ニヒルに返すつもりだったが、本気でキツイ。
「ポカリ、買ってくる」
メガドライブがぼそりと呟いた。
「お前あたまいいな! そういえば昔こいつが風邪ひいたときも、おっちゃんが買ってきてた!」
「ゲホッ、ちょっと待て。お前ら外を出歩いたことないだろ」
「ない! でもだいじょぶ!」
「別に」
不安すぎるぞこいつら。
ファミコンは謎の自信を持っているし、メガドライブにいたっては返事ですらない。
「とりあえず俺は寝るから、外でたりするなよ?」
俺は、「絶対だぞ」と念を押してからベッドに潜り込む。
「……寝たな」
「寝た」
顔を覗きこんでみると、額に汗をかいて苦しそうだ。
「ポカリ……でも、行っちゃ駄目だって言ってたしなー」
うぅ、と呻いて頭を抱え悩んでいると、メガドライブは不思議そうな顔をしている。
「さっきのは、フリ。行けと言ってるようなもの」
「えっ、でもさ!」
「押すなよ押すなよ、言ってたら押す。違うの?」
「おぉ……やっぱりお前あたまいいな!」
悔しいけどさすが私より新型のハードだ。
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