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テーブルの上にある茶色の長財布を手に取り、出来るだけ物音をたてないように二人で部屋を後にする。
「コンビニの袋を持って帰ることが多いし、多分近くにコンビニがあると思うんだよな」
「うん、ここに来るときにあった。覚えてる」
「おー、買い物思ったよりも簡単に…………」
終わりそうだな。と続けようとしたら、目の前をすごい速さで何かが通りすぎた。
「て、ててて」
「て?」
「鉄の馬だ……!」
「ファミコン、今のはバイク」
「バ、バイク? 段差でジャンプするあの乗り物?」
「……そうだね」
メガドライブが哀れむ様な目で見てくるのはなんでだろう。
久しぶりに出る外は見たことのないものばっかりで、すごく気になるけど私たちにはやる事がある。
バイクなんて気にしてる場合じゃない。
5分ほど道なりに進むと、緑の看板を発見。
家庭的なコンビニで有名なところだ。
「ここ、入る」
「いくいぇ……行くぜ!」
気合いを入れて黒いマットの上に立つと、ドアが左右に開く。
「ド、ド、ドア! 勝手に開いた! ここに見えない人いる!」
あまりの恐怖に思わず大声をだすと、店に居た人達の視線が集まる。
「……ファミコン、うるさい」
少し顔を赤くしたメガドライブに怒られた。
「店員、いた。ポカリあるか聞こう」
ドリンクコーナーに居た店員にポカリを取ってもらってそのままレジへと向かう。
「支払いはまかせろー!バリバリー」
「ブフッ!」
あいつの財布にはマジックテープがついてなかったので口で言うと、店員は鼻水を噴き出した。
汚いやつだな、まったく。
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