12人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が目を覚ますと、額に濡れたタオルがのせられていた……のは良いが、全く絞っていないのか枕元がびしょびしょになっていた。
きっとファミコンがテレビでみたのを真似てみたんだろう。
その効果があったのか、寝てたから単に良くなったのか分からないが、先程より楽になっていた。
礼を言おうとテレビの方を見ると、二人仲良くクソゲーに励んでいた。
「タオルありがとな、大分楽になった」
「ん、起きたか。今良いもの持ってきてやるからな!」
ファミコンとメガドライブはどたどたとキッチンへ向かったと思うと、でかいボトルのポカリを持って戻ってきた。
「これ、どうしたんだ?」
「買っムグ」
満面の笑みで喋ろうとしたファミコンの口をメガドライブが塞ぐ。
(なんだよー? 二人で買ってきたって言って、褒めてもらおうよ)
(出掛けるなって言われてたから、褒められない)
(でもアレはフリだったって)
(ファミコンが、行くの渋るから言ってみただけ)
(……やっぱり怒られる?)
(怒られない、名案がある)
こっちに背を向けて二人でコソコソと話をしていたが、メガドライブがくるりと振り返る。
「ポカリの妖精が、持ってきた」
こいつの根拠のない自信はどこからくるんだろうな。
「名案ってそれ!?」
「そうかそうかー、妖精さんかー。 妖精さんが居たらお礼を言いたいなー」
「……わたしが、買ってきた」
「あっメガドライブずるい! 私も一緒に行ったのに!」
ぴーんと手を挙げるメガドライブと、対抗するようにファミコンもはい!はい! と手を挙げる。
「そっかー、わざわざポカリを買ってきてくれたのか。えらいぞー!ありがとなー!」
俺は最高の笑顔で二人を褒めてやる。
「ふっへっへー。いやー、たいしたことないって!」
ファミコンは褒められて嬉しいのか、調子に乗っている。
「別に、あなたのためじゃない」
メガドライブはツンデレっぽいことを言っているが、無表情で言われるとマジで俺のためじゃない様に聞こえるな……。
まぁそんな事は良いんだ。
最初のコメントを投稿しよう!