いつもの二日

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「平穏なる俺のエデン(ニトリで25000円也)に邪悪な気配を感じる」 「邪悪って……もう、お昼なんだし早く起きろよー」  背中をつんつん突かれている気がするが、気のせいだろう。 俺は寝る。 いや、寝ている。 「なあー、もう起きてスペランカーやろうよ。死んだら交代でさ」 「無人島で一人暮らしするよりめんどくさいからパス」 「えぇっ!? スペランカー先生が可哀相だ!」  あまりにうるさいので、のそのそとベッドを這い出してきっぱりと言ってやる。 「可哀相なのはスペランカー先生じゃない。お前のスペックと頭だ」 「なっ、なぁっ!?」  ファミコンの頭から埃の塊がぽろりと落ちる。  俺としては当然のことを言っただけなんだが、かなりショックだったらしい。 「……新しいカセット買ってきて。今すぐに、すっごく新しいの! 私のスペックを馬鹿にしたのを後悔させてやるから!」  頭が可哀相なのは否定しないのか。  ファミコンは普段物をねだったりしないが、俺の発言が変なスイッチを入れてしまったらしい。  正直日曜くらいずっとごろごろしていたいが、ここで行かないと永久に終わりの無いスペランカー地獄に付き合わされるのだろう。  俺は財布の中身を確認し、ゲームショップへと向かった。
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