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「じー……」
暫くすると、背後から変な音が聞こえてくる。
「じーー……」
「多分、じーっていうのは自分で言うものではない」
ふるふると首を振ってメガドライブが言う。
「知ってるよ!? ずっと見てたのに全然気づいてくれないから、わざわざ口で言ってるんだよ!」
「気づいてたけど、振り向かなかっただけ」
しれっとメガドライブが答えると、頭にきたのか布団を放り投げてファイティングポーズをとるファミコン。
「ざんねん! メガドライブのぼうけんは ここでおわってしまった!」
伝説のクソゲー、シャドウゲートの死神を真似て不適に言い放つファミコン。
しかし、そんなダサカッコイイ台詞を聞いてもメガドライブはまったく動じていなかった。
「いくいぇ!」
多分、「行くぜ」か?……やる前からファミコンの負けが見えている気がするが、きっと気のせいじゃないだろう。
「そそそそ、そいやー!」
無駄な気合と共にマイク内蔵型の左腕を振り上げるが、メガドライブはもうとっくに懐に入り込んでいる。
そして、次の瞬間……
「はい、交代」
「うぇっ、な、なんでコントローラ?」
メガドライブが、コントローラを手渡した。
「ファミコン、ずっと見てた。一面交代しないと喧嘩になる」
メガドライブはファミコンにコントローラを渡し、恐らく友人宅の自宅ルールらしきものを語る。
――しかも、滅茶苦茶得意そうに胸を張っている。
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