下女のシンデレラストーリー

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私はお城のお抱え職人。 細い細い透明な糸と 太くて白い糸を巧みに鍵棒で編み込んで、美しく仕上げたレース。 お姫様の身の回りの、手袋や靴下、ハンカチーフにリボンタイなど、主に身に着ける小物の制作が仕事なの 時々、 お針子の手伝いで、ドレスや殿方のチョッキの装飾を頼まれたりするわ。 お城の裏手、広い広いお庭の隅っこ 塀の近くの使用人部屋が、私の住家で作業場なの。 今日も、社交界にデビューする、お姫様の手袋を編んでいるのよ ねぇ手袋さん 私の代わりに素敵なホールを見てきてね。 王子様が思わず唇を寄せたくなるよな 魅力的な姿にお前をしてあげる。 そしてお姫様と王子様は、結ばれて幸せになるの。 そんな夢を描きながら、私は心を込めてレースの花を咲かせるの。 私一人の仕事だから、話し相手が居ないんだもの。 そんな空想だけが私の楽しみなのよ?  
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