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お姫様はお世辞にも、美しいひととは言えません。
いえ
使用人の私たちは、口が裂けてもそう言えないし、
ご主人様なのだから、お世辞を言わなければなりません。
そして
無慈悲な方で、ちょっとした事で行方が知れなくなった使用人仲間が何人かいたの
そんなお姫様
近くの国の王子様にお呼ばれして、待ちに待った公の社交界デビュー。
私が編んだレース付きのドレスと、
手袋を身に着けて行かれたそうなの。
お誕生日を迎えられた王子様は、とてもお洒落好きな素敵な王子様。
うちのお姫様のお衣装を見て、大層お褒め戴いたのだとか。
舞踏会に着るお衣装を作って、王子様が満足出来たら
花嫁様にして戴けると、約束をして
今、此処に私を呼び出したという訳よ。
シャツの襟と、タイ。
チョッキの裾や、上着の袖と裾。
王子様が絶対気に入るような、レースの装飾を制作しなさい。
そう、お姫様に命令されたの。
当面は、素晴らしい図案を構想するために
そのお衣装制作だけに時間を取りなさい。とも厳しく言われたわ?
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