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「そうそう
わたくしは慈悲深いのよ?
お前がやる気が出るよう、わたくしの宝をひとつあげましょう。
だから
最高傑作を作らねばなりませんよ?
首を撥(ハ)ねる覚悟はお有り?」
「はい。お姫様
勿体ないお言葉、重く受け止めて
丹精込めて、レースを編み上げますわ」
ああ
なんて恐ろしいお姫様。
笑顔で首を撥ねるだなんて‥
恋はひとを狂わせると云うけれど、それは気高いお姫様も同じなのね‥
「さあ、姫様の宝物庫へ参るぞ
どれでも好きな物を一つ選べと、姫様は仰せだ。
有り難き幸せ
噛み締めながら精進致せ」
美しい鎧をお纏いになられた騎士様が、難しい言葉で、私をお姫様の部屋から連れ出したの。
たくさん
たくさん歩いて着いたのは、お城の離れの塔の中。
扉を開けると、煌びやかな宝が悲しそうに眠っていたの。
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