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次に目の前に広がったのは、まさしくこの世では無いことは明らかだった 『ここは…』 そこは紅く燃えたぎる炎の渦が空を焼き、地に流れるは溶岩の如く 黒く研ぎ澄まされた剣山の森が当ても無く広がり、何か生き物の様な者がそれに鋭く突き刺さり呻き声をあげていた また酷く皮膚が爛れた人の群れが居るかと思えば、亡者の如く徘徊し鬼の姿をした者達にこれでもかという程に鞭打たれていた そこは誰が観ても《地獄》としか言いようが無かった 『くそっ俺がこんな所に来ちまうなんて』 そう言い軽く溜息をつく 『………地獄ってこんな所なんだな。俺みたいな奴は地獄がお似合いってか』 業火を映すしたような紅く光る眼で地獄というものがどんなものかを見つめ、腰まで伸びる三つ編みを揺らしながら今いる自分の位置を確認した 不思議と身体の痛みも無く、額も身につけている鎧も全く傷が無かった 『…まっ、満天』 ふと蘇る記憶に一人の存在が蘇った あんな形で死なせるなんて 大事な俺の―――弟 人一人分はある程の巨大な刀に突き刺さる弟が脳裏に…何度も何度も… 何度も何度も…繰り返し止まることなく蘇った 『なっ何だ!?何だってんだ!!』 何度も繰り返し蘇る記憶を抑える事が出来なくなり… 否、その記憶は蘇ると言うより無理に流し込まれているようだった 『やっやぁ////やめろ!!!何だってんだ!!何故こんな記憶ばかり見えちまうんだ?』 繰り返される記憶は何度もその者の弟の死を見せ続け、着実に心を砕いた 【―――苦痛を…】
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