11階の華子さん

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「こんばんは。」 大家さんに挨拶をしようと思った私はインターフォンを押していた。 「開いていますよ。どうぞ。」 中から若い女性の声が聞こえてきて、私に部屋に入るよう促してきた。 これはチャンスかもしれない。何のチャンスなのか自分でもよく解らない期待をして部屋に入る事にした。 「おじゃまします。」 中では声で得た印象と同じ女性がお茶をたてていた。 「散らかっていますが、お茶でもどうぞ。」 散らかっているというワードとは程遠い、殺風景な室内だった。今思えばまるで私が訪れるのが分かっていたかのようにお茶が出され、茶菓子も用意されていた。
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