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───世界のどこかにある、とある森の上空。
狂暴な魔物が飛び回る中、三人の人間が平然と浮いていた。
『わおっ。レイン君やるね~』
『そじゃなぁ。ワシは怖じけづいて逃げるか負けてボロボロになるかと思っとったのに・・・賭けはミレイの一人勝ちじゃな』
『ほんっとツイてないわ。あの子何なのよ。戦闘経験0だっていうから負けの方にかけたのにさ。並以上じゃない』
この無責任、他人の苦労を楽しんでいる最低な人達はギルドのメンバーである。
左からミレィ、マスター。そしてもう一人は赤髪を腰の辺りまで伸ばし、鋭い目つき、衣服のあちこちに鎖で十字架を装着している女性だ。
この女性の名はサーシャ。ミレィと同じくギルドの一員だ。
『私もビックリなんだよ。まさか、あそこで私の見せた魔法を使っちゃうなんて』
本当にビックリしたのだろう。ミレィは空中とは思えないほどぴょんぴょん跳ねながら騒いでいる。
『ま、負けたのはムカつくけど面白い物が見れたし、いいか』
笑いそうもない彼女だが、口元だけは笑っていた。
それを見た二人は動きを封じられたかのように微動だもしなくなった。
『ん、どうしたんだい?』
『『!!!!・・・・・・・・・サ・・・サーシャが笑った・・・』』
『なんだいなんだい!私が笑っちゃいけねえのかよ!』
『いや、その、珍しいなあって思って』
『ふんっ。私だってたまには笑うっつーの』
笑みは消え変わりに不機嫌になったサーシャはマスターを睨みつけた。
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