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『とりあえず、私は坊主の治療に行くよ。あのままじゃ死んじまうだろうからね』
『ああ、頼む』
『ミレィ、私を降ろしてくれ』
三人が浮いていた理由は勿論ミレィの能力であり、頼むとゆっくりサーシャはレインのいる場所へと向かっていった。
『・・・・・・やれやれ。こんな酷くなるまで頑張るなよな』
木にもたれ掛かりながら気絶しているレインの傷を見る。
体のあちこちに切り傷があり、服も血で真っ赤だ。
『あんた、昨日とは様子が・・・目が違ってたね。変な夢でも見たのかい?』
返事が無いことぐらいわかっている。
だが、聞かずにはいられなかった。
逃げてばかりのひ弱な小僧かと思いきや、次の日、目が覚めれば本人の瞳には光が宿っていたのだから。
『あんたはどんな過去を背負ってるのかは知らないけど頑張りなよ』
頭を軽く撫でてやった。
『そんじゃ気づく前に終わらせるとすっかね。
癒しな【クロス・リカバー】』
サーシャが唱えると体に巻き付いていた十字架が一斉に輝きを放ち出した。
鎖からすり抜けるようにサーシャの体から離れると周囲を回転しながら浮かび上がっていく。
それはレインを囲うように止まり、青色の輝きを放った。
レインの傷が次々と消えていく。
切り傷、打撲、骨折。ありとあらゆる怪我が治っていった。
『やっぱ唱えなくてよくても呪文は言った方がカッコイイな。ん~、まあまあダメージが溜まったね』
『グルァァァァ!!』
『・・・・・・グルァ?』
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