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やっぱりと思った。
『ここは設備が整っておらん。もし攻めて来られても守りきれる保障が無いんじゃよ』
あの夜から今日まで何事もなかった。
多分、俺の居場所がわかっていないからだろう。
狙われている。守ってもらっている。これが今の俺だ。
理由は知らない。
だけど、自分じゃどうしようもないことだってぐらいはわかる。
『学園に行けば・・・守りやすくなるってことか』
『そうじゃ。あそこには腕に覚えのある者が多い。それに強力な結堺で守られておる』
皆に迷惑はかけられないよな。
それなら仕方がないか。
『ありがとう、マスター。俺、行くよ』
『そうかそうか。レイン君なら分かってくれると信じとったよ』
何だか、上手く言いくるめられた気がするけど気にしないでおこう。
『さーてと、ミレィ。さっき言ってた準備やりに行くか』
『うん♪』
マスターを部屋に残して、ミレィと一緒に街へと向かった。
一人残されたマスターは部屋にある電話へ手を伸ばす。
番号を押し、コールが数回鳴った後に聞こえて来た声は若い男性の声だった。
『・・・・・・・・・もしもし』
『あー、ワシじゃ』
『貴方でしたか。と言うことは例の件のことですね』
『そうじゃ。彼がそっちに行くことになった。後は頼んだぞ』
『ええ。わかりました』
落ち着き、礼儀正しさを持った声の持ち主と会話を終わらせると、電話は切れた。
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