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エニルエルの恋人
この月並みなファンタジー世界にも極上を謳われる葡萄酒が存在する。
その名も、
『エニルエル』。
一般的には、エニルエル地方で熟成させた、赤葡萄の果実酒の事をさす。
温暖な気候でノビノビと育った宝石葡萄を原料に、
昔ながらの拘りの製法により、丁寧に、丁寧に造りだした葡萄酒。
その、香り高く、深みのある濃厚な味わいは、無類である。
特に幻の42年物は"珠玉の一年"と噂されるほどの秀作。
一説には、かつて時の権力者ライラックがエニルエル地方を侵略した理由は、その究極な葡萄酒を我の物にしたかったからだと言われている。
今回は、そんな葡萄酒にまつわる物語である。
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