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 少し子供のように拗ねながら、アリスの腰を引き寄せて執務室へと転移魔法を発動させる。  部屋に着くと、オーブを手にかざして情報を読み取ると、既に村が一つ消滅していた。 「なかなか手際がいいですね。名前はまだ報告来てませんね。名乗ってないのか、ただ礼儀を知らないか」  後者だと、余計に厄介です。人を人とも思わない新参者。魔力を持て余していて、今の私では太刀打ちし難い。  アリスに良いところを見せたい反面、無様にやられるのも目に浮かぶ。 「名乗ってくれれば、ある程度手も考えられるんですがね。男なのは間違いないですよ、賭けますか?」 「カミュさん、不謹慎です……」  アリスにたしなまれ、私は気分が落ち込んだ。
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