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 ふらりと立ち上がって部屋を後にする。と、出会い頭に女性に一群と遭遇する。  女性達は私が微笑むと、近寄って来た。 「お疲れ様です、セカンド。良かったらお仕事の合間にでも召し上がってください!」  そう言うと、断る間もなく手に暖かい物が押し付けられる。匂いから察するに、また焼き菓子の様子。  次々に押し付けると、女性達は逃げるように走り去った。  若い女性にはよくある事、と一言で片付けられますが、結構手間がかかると言えばかかる。中には名前すら書いていないので、お返しができない。 「はぁ……恨みますよ、トップ。受け取らないなんて酷いだなんて言うから」  人間になろうとしている魔族の哀れな結末がこうです。
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