初恋の君

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振り返らなくても分かるこの声は。 「あ、お疲れ様です、……彩愛先生」 出来るだけ平静を装って振り返る。 「どうかされたんですか?嬉しそうに戻ってきましたけど」 み、見られてたのか…。 「いえ、…その、なんでもありませんよ」 「…そうですか?…文化祭もうすぐですね。頑張ってください、美術部の展示」 ニコリと微笑むと淹れ立ての珈琲を俺の机の上においてくれた。 その笑顔は、昔と全然変わってない。 ……小3のとき、恋をした    ハツコイの君。 「ええ、ありがとうございます。頂きます」 あれ?ミルクと砂糖がちゃんと2杯ずつ入ってる。 バッと顔を上げて彩愛先生の顔を見ると、ニッコリと微笑んで呟いた。 「……甘いのばっかりはダメよ、大ちゃん」 思わずガタッと席を立つ。 「え、ええ?もしかして、彩愛先生…お、おお覚えて?」 フフッと可愛く笑うと彩愛先生は職員室を出て行った。
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