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「おい、広瀬! なにやってんだよ行くぞ」
いつの間にか、僕の足は止まっている。
「あ……うん」
振り返ると、彼女の姿はもう見えなくなっていた。
帰り道。
結局、鈴木さんを見つけられなかった崎田を宥めるのもそこそこに、家路へ。
あの顔が忘れられない。
たぶん年上。
でもそんなの、関係ない。
また見たい。
話してみたい。
角を曲がった僕に、そして奇跡は訪れた。
視線の先。
僕は自然と早足になるのを感じながら、ためらわず声をかけた。
「足、痛いの?」
彼女の大きな瞳のなかに、僕が映る。
END
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