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神は平等であり、力は平等に無慈悲であった。
猛り荒ぶり、破壊と蹂躙を尽くし、傷つけ、殺めることもあれば、静かに微笑み、再生と誕生を促し、慈しみ、愛するときもある。
人の尺度では計り知れない叡智を振るい、恐怖と畏敬から信仰心は沸き上がっていた。
また、それらは一層強く人を惹き付け支配した。
時が経つと蒙昧なる人は深く信仰をすればするほど、神は穏やかであり続け、人を世界の中でより高い位に置くはずだと思い込むようになった。
溢れる自然との相対による位置付けを止め、迷妄の神による絶対の審判を選んだのだ。
これにより、人の思考は停止し悪しき思考は加速する、生死の意味の均一化、自然の忘却、他者の排斥――人は在るべき命の在り方を自然から斥け、神による価値判断を得ようともがいた。
やがて拡大された信仰意識は愚かな選択をしてしまう。
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