ダルダル樽の男と会社員①

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…走り走り走り走り… 振り替えると、もう猪の姿が無い… 空を見上げると、オレンジ色に染まっている。 一日中、走り回っていたのだろう… さて、ここはいつもの山じゃない。 いつのまにか、三つ隣の山の山頂まで走ってた。 ダルダル樽はもう無い。 毎朝洗う水はもう無い。 自分の殻は大破した。 俺には、この身体しかない。 また、樽を造るか? こうやって壊れてしまったのに? 冗談じゃない。 もうこんな経験はたくさん。 自分の足で山を降りよう。 もう、このパジャマも捨てなきゃならない。
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