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3人の軍人が去った後。
藤堂は、とりあえず両手のたくさんの荷物を持ち替え、後ろの輝の方を向いた。
藤堂「輝、本当に大丈夫だったか?」
輝は咄嗟に、少し悲しそうな顔をした。
輝「大丈夫なわけないじゃん………。
5年間も私の前からいなくなってさ………。
手紙も寄越さなくなってさ………。」
藤堂「いや、そうじゃなくて、アイツらのことで…」
輝「藤堂兄さんのせいで、私もう…………」
輝の一言に、藤堂は慌てた
藤堂「ま、まさかアイツらに!!!?」
輝は、一瞬驚いたが、すぐに微笑んだ
輝「お馬鹿兄さん!
ちゃんと藤堂兄さんのために処女は取ってますぅ!」
藤堂「お前なぁ…」
藤堂は呆れたように、元来た場所に向かって歩き始めた。
輝「あ、待ってよ!!」
足早に歩く藤堂を背中を、懸命に輝がついていく。
いつしか、この光景は この府中駐屯地でも昔、名物になっていたことを彼らは知らなかった。
ついた陰名は、シスコンエリート藤堂、ブラコンエリート輝。
藤堂 京平 と 九条 輝。
血も苗字こそも違えども、他人が介入できない程の兄妹を超えた関係。
やがて、その中途半端な関係が悲劇を生むことも 彼らはまだ若く知らなかった。
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