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1時間後、藤堂は輝と別れ一人、府中統合司令部へと向かっていた。
ここ新東京は、旧東京[中央東京]・埼玉[北東京]・神奈川[南東京]を合併し、3つの東京として機能している。
……新東京都のほとんどが国防軍や在日米軍・NATO軍が拠点としていて、民間施設は 運送・土木・風俗業者しかないのが現状だがな。
藤堂は、5年前とは変わらない桜の木が立ち並ぶ府中統合司令部への道を、懐かしむかのように歩いた。
30分後…。
事務手続きを終えて、府中統合司令部S課課長の九条 勉 陸准将の元へ向かった。
九条の元へ向かう道中、廊下の曲がり角で、いきなり走ってきた佐官の女軍人とおもいっきりぶつかった。
藤堂「っっっ!!」
女3佐「痛っ!!!」
額をおもいっきりぶつけてしまった藤堂と女軍人。
女3佐「貴様、どこを見てやが…………。
あ、ごめんなさい!」
……な、なんだ!?
………口調がまるで…。
藤堂「いや、自分こそ左右確認を怠り……」
女3佐はしゃがみ、藤堂に手を差しのべた。
赤ぶちの眼鏡に、黒く短い髪、そしておでこの上で髪を紐で止めているのが印象的な女性軍人であった。
朝比奈「はじめまして。
藤堂特務2尉。
私は、朝比奈 百合 特務3等陸佐。
君を待っていたんだ。」
藤堂は、ふと疑問に思った。
藤堂の訪日は、国防軍上層部と政治家しか知らない。
…この女一体…。
藤堂「貴方は、何故私の名前を?」
朝比奈はにこやかに微笑んだ。
朝比奈「詳しい話は、九条准陸将から…ね。
明日からキツくなるから、その覚悟で。
じゃ、また明日!」
そう言うと、朝比奈とか言う3等陸佐はまた足早に去っていた。
…なんだあの女?
……まさか…な。
藤堂の危惧は、やがて数ヶ月後に的中するのであった。
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