35人が本棚に入れています
本棚に追加
九条は、テーブルの上に置かれた藤堂の荷物を、藤堂に断りもなく漁り始めた。
九条「熊さんお人形に、ハーブの香水、それに…こりゃあ…女物の下着かよ!」
藤堂「輝への土産です。
買わなきゃ買わないで、喚くだろうし…。」
九条「…そういや、輝には会ったか?」
藤堂「はい、先ほど」
九条「お前さん、しばらく輝の元にいてやるんだ。
輝の病気は、年々酷くなってる。」
…無理もない。
……5年程、前まではそんなに頻繁に出るものじゃなかったが、今じゃ些細なことで……。
九条「今じゃお前さんがいなくなれば、直ぐに発作が起きる。
いつもはお前の身分写真を持ち歩かせているから、発作は起きなかったんだけどな…。」
輝の病気とは…。
九条 勉と九条 輝は 実は、血がつながっている親子ではない。
輝が3歳の時…つまり20年前に勃発した第一次南北日本内戦時に、輝の両親、そして誰よりもなついていただろう兄と弟を、北日本軍に目の前で射殺された。
北日本軍の残酷なことは、それだけではなかった。
無抵抗な家族を殺した後、輝だけは幼いという理由で残した。
その後、北日本軍は撤退し、残敵掃討のために入ったのが九条1佐率いる第3普通科連隊。
九条は、そのまま茫然自失となっていた輝を養子として、向かい入れた。
[ちなみに、第一次南北日本内戦で藤堂の母と兄を空襲によって、失っている]
その後、輝はまるで人形のように ただ息をして座ってるだけの人間であったが、それを変えたのが藤堂であった。
戦争後、忙しくなった九条と 戦争後、北日本軍への復讐に燃えた 藤堂の父・京鳴。
藤堂京鳴と九条勉は、親戚同士であり、必然的に藤堂 京平 本人が、輝の世話役 兼 兄となるのは時間の問題であった。
最初のコメントを投稿しよう!